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高 坂雄一 / 近況フォトアルバム

[No031/2001年6月20日から78時間5分、ユーコン河]

今年も ユーコン準州では明後日6/28より毎年恒例のカヌー・カヤック・レースが開催される。世界最長の河下りレース「Yukon River Quest」である。
http://www.yukonriverquest.com/

もともと「Yukon Quest」というレースは犬ぞりレースであり、ユーコン準州のホワイトホースからアラスカ州のフェアバンクスまでを走る過酷な冬季のレースであり、今で も毎年出発地を交互交代して行われている。

この広大なレースの夏版を、前世紀始めの「金鉱時代」のルートに沿って始めたのが1997年のことである。最初の2年間はアラスカの船舶基地ス キャグウェイから急勾配の山(チルクート・トレイル)を走って登り、昔の人々がしてきたようにユーコン河上流からはカヌーを使って終点のドーソン・シ ティーまで行くという過酷なレースであった。

しかし、あまりにも過酷過ぎてレースにならないということとなり、1999年からはユーコン河を、ホワイトホースからドーソン・シティーまで漕いで下ると いう740kmの工程に変更された。

ということで、私も漕いで下るだけなら何とかなるかと思いつき、2001年に新たにできたソロ・カヤックの部にエントリーしてみた。740kmを 100時間以内に漕ぎきればレースを終了したという記録になるそうなので、時速10kmで流れているユーコン河なら漂うだけでも74時間で終わるだろうと いう、簡単な計算から楽観はしていたのである。

まだユーコンに住む前のことで、情報も乏しくなるようになれといった感じではあった。(いろいろ世話してくれた皆さんありがとう!) この経験が元に翌年 ホワイトホースに越したのではあるが...

とはいえ、途中にレイク・ラバージという巨大な動きの無い湖もあり、2箇所のチェックポイントではそれぞれ2時間、4時間の休憩を取らねばならないため、 85時間くらいで完漕できればと計算した。

普段フォールディングのシーカヤックで海を漕いでいるため、大河ユーコンであれば少しぐらい居眠りしても平気だろうと、レース用ではなくこのシーカヤック を使うことにした。

またそれぞれのレーサーはチェックポイントで補給、食事、補修をサポーターによって行うことができるのであるが、そんな余裕の無い私は、全工程の水と食料 を積まねばならず、とても重い思いをした。(笑)

完漕できれば良いと思っていたので、カヤックの前方にはカメラを設置して周りのレーサーの状況などを撮影しながら漕いだ。使用したシーカヤックは レース用カヤックよりも30cmも幅がありとても遅かったのだが、チェックポイント以外は2度しか上陸しなかったため78時間強で終えることができた。途 中何度居眠りして岸にぶつかったり、後ろ向きに流れていたことだろう。最後の100kmは自棄になって大声で眠いのを我慢して歌をうたい続け、(半日に一 度くらいしか会わない)他の川旅の人に笑われた。

ソロ・カヤックの部ができたばかりということで出場者も少なく、US$500の賞金まで貰ってしまい大満足であった。
http://www.yukonriverquest.com/2001/2001Results.pdf

しかし二人乗りのカヌーやカヤックの早いこと。
昨年のレースでは740kmをなんと42時間51分という新記録、2日未満で終えているのである。

通常このコースは世界中の川旅の人たちが3週間かけて楽しく過ごす、とても良い工程なのだが...

昨年は日本からソロ・カヤックで出場したいという方が連絡をしてきた。過去のデータや注意点を伝え彼も無事75時間45分で完漕した。
http://www.yukonriverquest.com/results05.htm#solo

皆さんも来年はいかがですか?

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1枚目 出発準備完了、ホワイトホースにて

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2枚目 レイク・ラバージ入り口地点付近

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3枚目 フータリンカ前のUSベンド付近の真夜中

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4枚目 ファイブ・フィンガー・ラピッズ (カメラが水没 しました)

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5枚目 寒いためPFDの上に着込んで居眠り

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6枚目 ドーソン・シティー到着

http://mixi.jp/view_album.pl?id=544227

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