チャーチルでのホッキョクグマ撮影のレ
ポートが遅れてしまった。なぜなら、嬉しいことに沢山のクマにあえたからであった。ポジの現像はまだ終わっていないがデジタル分がやっと整理できた。
通常野生動物を撮影しに行くと数日で運がよければ、数頭にあえれば上出来という状態。しかも撮影がきちんと出来るなんてことは余り無いのである。だから今
回も(みなチャーチルに行った人は沢山見えたというが)余り期待はしないように自分に言い聞かせて一枚でも見せられるような写真が撮れれば良いなぁと思っ
ていたのだ。
この村から街まで100km車を飛ばし、そこからバンクーバー経由でウィニペグまで飛ぶ。ここで初日が終わりホテル泊。普通のツアーなら翌日ここから
チャーチルまで2時間半の飛行機に乗るのだが、なんせホッキョクグマを見に行こうと思いついたのが1ヶ月少し前。安いチケットは無く日本に飛ぶよりも高い
のである、一度乗ってみたかったカナダの長距離列車VIA Railを使うことにする。
マニトバ州のウィニペグから北極海に繋がるハドソン湾の南端に位置するチャーチルまで約1,700km、予定でも36時間。午後8時半出発で翌々日の朝8
時半に到着というから二晩車両の中で過ごすわけである。結局2時間遅れで到着したのだが、夏季は永久凍土の氷が融けるため半日遅れが普通であると言われ
た! 到着が家を出てから3日とはなんとも遠いところまで来たものだ。
チャーチルではツアーだけでなく宿も一年前から予約が殺到するために、私が問い合わせた時点ではどこも空きが無かった。もう分かるだけの宿、B&
B(旅館)にメールや電話をして3晩だけ確保できたので行くことにする。帰りの列車の予定上5泊することになっておりナントカなるだろうと思っていたのだ
が、B&Bのオーナーが他の場所を確保してくれた。ありがとう、ドン(Polar Bear B&B)。
ツアーもバギーツアー以外は予約していかなかったので、現地でレンタカーでもと思っていたのだがそれも難しいとのこと。チャーチルのホッキョクグマ・シー
ズンは10月終わりから11月中旬と短いため全てが予約一杯になってしまう。出発前までいろいろなツテやウェブサイト、地元の村役場、商工会議所に電話や
メールをするが行きたいところの情報が入手できなかった。今までカナダ各地でこれだけ苦労したのも珍しい。
結果チャーチルに到着してメールを調べたところ一軒のツアー会社からメールが入っていた。行きたい場所へのツアーに参加できるという。早速電話して翌日の
予約をし、その日は町をぶらぶらする。
町並みは他の北の小さなところと比べるとよく整備されており、道路も舗装してあった。永久凍土の上に町を作ったわけなので家を建てるのは北極圏特有の建て
方である。家からの暖房で氷が解けないように土台を作りその上に家を建てる(置く)のだ。
レストランも数多くあり、食事の時間をずらせば予約も必要なかったし、スーパーではカップラーメンや餃子スープまで売っていたので全く問題は無かった。
ただこの時期は町の中にもクマが歩いていくので、特に夜一人でオーロラの撮影に出るなど厳禁である。ポーラー・ベア・パトロールという州政府運営の機関が
24/7で見回っておりクマが出るとみなそこに電話する。時にはトラップを仕掛けて生け捕りにする。
翌日ツアー会社の係員が迎えに来た。バスではなくミニバン、それも客は私一人だという。ガイドのロブと話をしているうちに彼がどこかであったことがあるか
と聞いてきた。それもそのはず、昔私がイエローナイフのオーロラを日本に紹介していた頃、彼はチャーチルのクマを日本に紹介するために同じコンファレンス
参加で日本に行っていたのだ。話しが弾み撮影はとてもスムースに行った。普通は紹介しないようなところまで連れて行ってもらい大満足。結局バギー・ツアー
の日以外の3日間は彼のところでお世話になってしまった。(North Star Tours)。
撮影初日にホッキョクグマ5頭、翌日バギー・ツアーでは14頭、3日目が7頭、4日目7頭と夢を見ているのではないかと思うほどで、毎晩撮影した写真の
バックアップで大変であった。
結局暖秋(?)のためオーロラは一度も見ることが出来ず、帰りの列車の中から少し見えただけであった。
昨日B&Bのドンからメールがあり、やっと気温が零下25度になり殆どのクマは流氷の上をアザラシを求め歩いていったとの事。まだ6頭ばかりが
残っておりそのうちに出て行くのではないかと言う。去年は11/15日前後に全てのクマが出て行ったとの事から、今年はいかに暖かく海が凍り始めなかった
のかがわかる。いろいろなところで気候の変化から問題があるといわれているが、今年国際自然保護連合の危急種ホッキョクグマがに指定されたのもうなずける問題だ。
こちらにチャーチル関係の写真をアップしました。
http://www.blue-moon.ca/digital/polarbear.html
2006年11月24日
ニュー・アイアンチより
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