今後の撮影やツアーの仕入れなど多くの物が必要なので、休暇をかねてバンクーバーに買い物に来た。 以前住んだことのある、カナダ西海岸最大のこの街は年々拡大を続けている。 2008年冬季オリンピックの会場として、スキーで有名なウィスラーと共に名乗りを上げ、この会場に選ばれたことも関係しているのだろうか、街の北に位置するノース・ショアー・マウンテンの中腹以上までに高級住宅地の建設が行われており、10数年前に比べると山の様子が全く異なってしまった。
バンクーバーが発展し続けているとはいえ、毎年行われる「世界で最も住み良い街」の選定では常時トップ争いを続けているほど、良い街らしい。 街のダウンタウンから、ノース・ショアー・マウンテンまでスキー又はハイキングをしに行こうと思えば、車で15分から30分で行くことが出来る。 この中でも私の気に入っているのが一番西に位置するサイプレス・マウンテンだ。
昨日は全く不思議な一日であった。 いつものように(このような南ではオーロラが見えることはまず無い)、インターネットで地磁気嵐の状況を調べていると大変なことが発覚した。 ここ半年で一番というくらいの数値ではないか。 あわてていろいろなサイトを調べるともう既に大西洋上ではオーロラが出ているらしかった。 こちらはまだ昼間なので暗くなるまでは10時間もある。 幾ら凄い嵐でも半日以上続くことはめったに無いので残念と思いながらも、用意だけはしておく。
知人とノース・ショアー・マウンテンの麓で夕食の約束をしていたので、早めに出発しサイプレス・マウンテンに行く。 バンクーバーには珍しく、公害の薄汚れた空気が風で流されたのか、街が山の上からもくっきりと見えた。
バンクーバー・ダウンタウンの景色、サイプレス・マウンテンから
何故か頂上のスキー場まで行ってみたくなり車を走らせる。 すると牡鹿がたたずんでいるではないか。 この山では今でも、黒熊、スカンク、鹿、ラクーン、などの野生動物が生息しているが、道路から鹿を見るのは初めてであった。 ヤナギランを美味しそうに食べており、こちらのことは気にならないようである。
新芽を夢中で食べている
撮影に夢中になり、知人との約束の時間に遅れてしまったのだが、なんせカナダの時間である、私の方が早かった。 食事中外はだんだんと暗くなっていき、オーロラが気になりゆっくりしていられなくなった。 知人には夜中北の空を見るようにと伝え帰路に着く。 早速各サイトを調べると、もの凄い大規模な地磁気嵐の真っ最中。 直ぐに北の空が見える場所を探して走り回るが、光害が酷く良く見えない。 それでもほんの1、2分くらい肉眼でも縦の筋と、緑色の渦が確認できた。
クイーン・エリザベス公園より、零時40分
街の光から遠ざかりながらも、その光をオーロラと同時に撮影するためにノース・ショアー・マウンテンの南対岸のビーチに向かう。 真夜中であるにもかかわらず、ビーチでは大勢の人々が泳いでいた。 みなオーロラが出ていることも知らずに大声ではしゃいでいたが、教えてもきっとどれがオーロラか分からなかったであろう。
English Bayを挟み、左がノース・ショアー・マウンテン、右の明かりがダウンタウン