Canadian North and Aurora Borealis 極北カナダとオーロラ [No005/2004.02.14]

月に一度の食料買出しに街まで出た。　車で片道2時間半の行程である。　2週間前の大雪がうそのように消え去り、未舗装の道路はスパイクタイヤやチェーンによって作られた、大小の穴が無数に続きドロドロにぬかるんでいた。　 今回の宿泊には温泉宿を選んだ。　「カナダに温泉?」と思うかもしれないが、カナダの太平洋側は日本と同じ｢環太平洋火山帯｣に属するために、山の中には多くの温泉があるのだ。　大きな資本で作られたリゾート地から、地元の人しか知らない鄙びた温泉まであるのだが、基本的に「温泉プール」の形態のため水着の着用が必要である。　今回の"Mount Layton Hotsprings Resort" も、プールで泳ぐ人のために水温が30度になっており、かなり肌寒い。　療養用の小さなプールの水温は40度であった。 アラスカやユーコン準州では、｢温泉地でのオーロラ鑑賞｣ツアーが盛んなようであるが、今回温泉地に行ってみて思ったのは、｢湯気のために空が見えない｣と言うことであった。　ちょうど滞在中に｢オーロラ警報｣が出ており、比較的南のこの辺りでも見ることが出来るかもしれないと注意していたのだが、施設の照明と湯気のために星さえ見えず、部屋からインターネットで確認することになった。　この施設はオーロラ鑑賞用に作られていないので、他の地域ではそのあたりは何か工夫がされているのであろう。 この村の近辺にも温泉がある。　昔からこの辺りに住んでいるニスカ族が使っていたらしいが、1900年代前後からはサケ漁をするためにやって来た多くの日本人により、ヒノキで浴槽が作られ繁盛したらしい。　今では全てが朽ち果ててしまったのだろうか、錆びたシャベルが一本あるだけで何の痕跡も無い。　砂利の溜まった小さなプールにはサンショウウオと蛙が沢山いた。　何せこの温泉に行くには、まずキンコーラスからカヤックを7kmほど漕ぎ、そこからブッシュの中を30分歩かねばならないのである。　周りにはグリズリーの残した痕跡があり、銃は必携である。　 温泉付近の海岸線 2004年2月14日停電中の キンコーラス より。